米中外交トップ、ASEANの場で初会談：関税への懸念も浮上
2025年7月14日、日本貿易振興機構（JETRO）のウェブサイトで、米国のアントニー・ブリンケン国務長官と中国の王毅（ワン・イー）外相が、東南アジア諸国連合（ASEAN）の外相会合の場で初めて直接会談したというニュースが公開されました。この会談は、両国間の緊張が高まる中、今後の国際関係を占う上で非常に注目されています。
会談の背景：対立と対話の狭間で
近年、アメリカと中国は、貿易問題、台湾情勢、南シナ海問題など、様々な分野で対立を深めています。特に、アメリカが中国製品に対する関税を引き上げ、中国も対抗措置を取るという「貿易戦争」とも言える状況は、世界経済にも大きな影響を与えています。
このような状況下で、両国の外相がASEANという多国間協議の場で顔を合わせたことは、直接的な対話の機会が失われつつある中で、何らかの意思疎通を図ろうとする動きと見ることができます。
会談で語られたこと：安全保障から経済まで
JETROのニュースによると、この会談でブリンケン長官は、台湾海峡の平和と安定の重要性を強調したと報じられています。これは、中国が台湾への圧力を強めていることに対するアメリカの懸念を改めて示したものと考えられます。
一方、王毅外相は、アメリカが中国の発展を抑え込もうとしていると非難し、自国の内政に干渉しないよう強く求めたとのことです。このように、両国の主張には依然として大きな隔たりがあることが浮き彫りになりました。
ASEAN外相会合で浮上した「関税への懸念」
今回のニュースで特に注目すべきは、ASEAN外相会合の場で、アメリカと中国の双方から「関税への懸念」が表明されたという点です。これは、単に二国間の問題としてだけでなく、地域全体の経済にも影響を与える貿易摩擦に対する、ASEAN加盟国からの率直な声と言えるでしょう。
ASEAN諸国は、アメリカと中国という二大経済大国との経済的な結びつきが強く、貿易摩擦が激化すれば、自国の経済も大きな打撃を受ける可能性があります。そのため、会合の場ということもあり、貿易の自由化や安定化を求める声が上がったと推測されます。
今後の展望：対話は続くのか
今回の米中外相会談は、両国間の根本的な対立を解消するまでには至りませんでしたが、対話の糸口が見えたことは重要です。特に、ASEANという多国間協議の場で、経済的な懸念が共有されたことは、今後の関係構築において、対話の余地が残されていることを示唆しています。
今後、アメリカと中国が、互いの立場を理解し、建設的な対話を通じて、貿易摩擦の緩和や地域経済の安定化に向けてどのように歩み寄れるのか、ASEANをはじめとする国際社会は固唾を飲んで見守ることになるでしょう。
ルビオ米国務長官、中国の王外相と初会談、ASEAN外相会合では関税に懸念
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